「メタバースとは何か~ネット上の『もう一つの世界』」 岡嶋裕史著
◎読んだ理由
メタバースという言葉は新聞を読み始めてからいやというほど目にする機会が多いのですが、全く知識がなかったので、軽めな本を探していたところ見つけました。
特に帯を見て、Facebookの社名変更について大して考えたこともなかったのも惹かれたポイントです。
◎良かった点
そもそもメタバースという言葉に関心がなかったのは興味がないからなのですが、著者の岡嶋先生はとにかくメタバースを求めている(楽しみにしている)方のようで、何故社会的にも取り上げられるのかを知るには最適でした。
ジャイアントテック各社のこれまでのビジネスモデル、今後の動きなんかは説得力のある記載で、今後新聞を読む楽しみが増えました。
また、このようなテクノロジーが伸びるにはアダルトコンテンツが役立つ等、正面から嘘なく考えていることも分かるので読みやすかったです。
このぐらいで「メタバースを理解した!」というのはおこがましいですが、最初の一冊としては、ある程度把握できたかなと思います。
◎気になる点
読んでいて一番気になったのは、「そんな未来になんの?」ってところです。
結局メタバースって、「都合の良い仮想(疑似)空間」なんだと思うんですけど、それって楽しいんですかね。
岡嶋先生は、リアルの生活、コミュニケーション、フラットな世界、SNSというものに若者を中心に辟易としているかのような書きぶりをしています。
それ本当ですか?
もちろん娯楽やツールの多様化があって、メタバースを求める人がある程度いることは分かります。
でも多くの人が求めてるのってそこじゃないと思うんですよ。明確に生身の人間のコミュニケーションこそが全てであって、これを補助するためのツールとしてのメタバースというのが正確な理解なんじゃないでしょうか。
人々がメタバース空間を中心とする未来。
テクノロジーが追い付いていないから未だ実現しない未来ではなく、そんな未来は来ないんですよ。
なんて考えてるのは、私の実生活が充実していることも多分に影響していると思います。
◎まとめ
そうは言っても、メタバースやAR市場が巨大化していく未来は避けられないというのが、この本からの大きな学びです。
メタバースを求める声(特に老人や病人でもアクティブに過ごしたいという声)なんかには敏感になれた気がします。
原状のオンライン会議なんかは、非言語的な部分に大きな問題を残しており、初対面では特に使えたもんじゃないです(仲良くてもオンライン飲み会なんか誰もやらないでしょ)。
この辺は通信技術、デバイスの発達で大きく改善されていくのでしょう。特にARとの親和性が良いのかなと思います。
ひとまず、次はブロックチェーンについての簡単な本を読んでみたいと思います。